エンジニア

SES(客先常駐)やめとけ?闇と言われる9つの実態とは

こんな方におすすめ

  • 長時間労働はしたくない
  • エンジニアとして高い給料が欲しい
  • エンジニアとして先が見えない

たしかに「SESはやめとけ」と聞きますが、やめとけという理由を詳しく聞いたことがないですよね。 結論から言うと、SESからでもキャリア形成することができます。

ただし、キャリアアップするには、向いている人の特徴をつかんで経験を積むことが必要です。

なべけん
なべけん
キャリアコンサルタントが解説します

なべけん(田邉健)略歴

  • スタッフサービス人材コーディネーター経験者
  • 累計1,231名以上の雇用創出
  • 無期雇用派遣の配属担当者
  • 国家資格キャリアコンサルタント有資格者
  • キャリア相談実績112名以上

【SESは闇・やめとけ】SESの働き方

SESとは

SESとはシステムエンジニアリングサービスの略称で、ITエンジニアが働くときの契約形態のひとつで、IT業界ではSES契約と呼ばれています。

書面上では「準委任契約」という名称が使われていることが一般的で、契約先企業に一定期間常駐し、システム開発やソフトウェア開発などを行います。

契約先企業に常駐して働く

自社でエンジニアがいない企業や、プロジェクトに外部のエンジニアを利用したい企業から依頼を受け、契約先企業に常駐して業務を行います。

常駐することで、契約先企業とのコミュニケーションがスムーズになり、開発作業の効率化や品質向上につながるのです。

このように、情報共有やコミュニケーションをおこない、プロジェクトの進捗管理や問題解決に貢献することもITエンジニアの重要な役割となります。

エンジニアだけでなく、ITコンサルなどでも常駐先して活躍している方がいます。

ITコンサルについては【ITコンサルやめとけは本当?|コンサルキャリア】をチェックしましょう。

雇用主の指揮命令で働く

SES契約は「準委任契約」と呼ばれる業務委託契約がほとんどで、SESの指揮命令権は契約先企業ではなく、雇用されている会社です。

もしSES契約で派遣先が指示を出していれば、契約違反となります。

エンジニアを企業に派遣する点は同じですが、誰が指示するのかが異なるので注意が必要です。

間違った認識は法律に違反する場合もあるので、しっかりと違いを整理しておきましょう。

【SESは闇・やめとけ】SES契約と他の契約の違い

SES契約と委任契約の違い

委任契約は、委任者が法律行為に該当する業務を受注者に依頼する契約形態です。

民法643条では委任契約について「当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる」と定義しています。

「法律行為」とは、当事者の意思表示により何らかの法的な効果を生み出す行為のことです。

たとえば、買い物は「売買契約」という法律行為にあたります。

仮に、あなたが誰かに買い物(売買契約)を依頼(委任)し、依頼された相手が同意してくれれば委任契約が成立します。

しかし、エンジニアは法律行為に該当する業務は少ないため、委任契約を結ぶことはほとんどありません。

SES契約と派遣契約の違い

どちらも、ITエンジニアが契約先企業に常駐して業務を行うのが一般的ですが、両者の契約内容は異なります。

派遣は、契約先企業の指示で働くITエンジニアを派遣会社が提供する契約形態です。

そのため、派遣契約ではエンジニアに対しての指揮命令は契約先企業が行います。

一方、SES契約の指揮命令は、エンジニアとして雇用されている会社です。

業務内容は同じなので混同しがちですが、違いは「指揮命令権」にあります。

SES契約と請負契約の違い

SES契約は「依頼された期間の技術提供」を契約します。

一方で、請負契約は「納期までに業務を完成させる」契約です。

たとえば、アプリ開発の請負契約なら、完成したアプリを納品しなければなりません。

しかし、SES契約はアプリ開発のために一定期間の技術力を提供すればよく、期間内に完成させる必要はないのです。

SES契約は、期間に対しての報酬なので、成果物に対する責任はありません。

一方で、請負契約は成果物に対しての報酬のため、成果物に対する責任が発生します。

このように、SES契約と請負契約の違いは「成果物に対する責任の有無」です。

これまでの3つをわかりやすくまとめると次のようになります。

契約形態 仕事領域 指揮命令 成果物の責任
SES契約 法律行為以外 雇用主 なし
委任契約 法律行為 雇用主 なし
派遣契約 法律行為以外 契約先企業 なし
請負契約 法律行為以外 雇用主 あり

【SESは闇・やめとけ】待遇の理由

給与水準が低い

IT業界は仕事が多重構造になっていることが多く、仕事を請け負った1次請け業者が、複数の2次請け、3次請け業者へと仕事が発注されます。

SESは下請けの仕事が多く、間に請負業者の中間マージンが発生するため、単価が下がり企業の利益も少なくなってしまうのです。

さらに、SES契約は労働期間に対して報酬が発生するため、成果物のクオリティが高くても給料に反映されないことが多く、給与が上がりにくい傾向があります。

昇給しにくい

昇給するためには、上司に仕事ぶりを評価してもらう必要があります。

しかし、SESは契約先企業に常駐して業務を行うため、上司の目に触れることが少なく評価されにくい働きかたです。

たとえば、自社勤務なら指導してくれる先輩や上司がいて、指導を受けながら将来的にリーダーなどになることもできます。

しかし、SESはリーダー経験を積む機会が少ないため、キャリアアップがむずかしく評価されないことも少なくありません。

契約先企業がないときは休業もある

SESは契約先企業に常駐して仕事をすることが多いため、契約先に左右されることが特徴です。

つまり、ITエンジニアを必要としている企業がなければ、仕事をする場所がないのです。

最悪、契約先企業が見つからないときは、休業させて給与をカットすることもあります。

これは、違法ではなく労働基準法第26条で認められているのです。

SESはこのようなリスクがあることを理解しておく必要があります。

【SESは闇・やめとけ】労働環境の理由

働く場所が安定しない

SESは一定期間を契約先企業に常駐して仕事をするため、ひとつの現場が終わると次の新しい現場に配属されます。

せっかく人間関係や職場環境に慣れても、また別の契約先では最初から人間関係の構築などが必要です。

そのため、コミュニケーションが苦手な人は、苦痛に感じることも少なくありません。

一方で、働く場所が変わることは、新しい環境や技術に触れる機会が多いというメリットもあります。

さまざまな業界や業種のプロジェクトに携わることができるため、スキルアップやキャリアアップのチャンスも豊富です。

働く場所は自分で選べない

SESはひとつの現場が終われば次の現場へ配属されますが、自分で働く場所を指定できることはほとんどありません。

場所を指定されることで、転居の必要性や通勤距離が長くなることもあり、新しい環境に適応するためのストレスが増加しがちです。

さらに、契約先企業によって業務内容が限定されることもあるため、スキルアップの機会が減少する可能性があります。

契約先企業によって労働環境が変わる

契約先企業によって労働環境が変わることは珍しくありません。

企業によって事業内容や規模、文化などによって労働環境が異なるためです。

たとえば、リモートワークなど比較的自由な働き方ができる企業であれば、ライフワークバランスも取りやすくなります。

しかし、残業が常態化している職場や人間関係がよくない職場、通勤に2時間かかるなどマイナス要素が多い職場に当たることも少なくありません。

【SESは闇・やめとけ】キャリアの理由

スキルアップがしにくい

SESはひとつの会社にいる期間が短いことも多く、スキルが身につかないまま別の会社に配属されることも少なくありません。

また、自分の意思で案件を選ぶこともできず、スキルアップにつながりにくいと感じているエンジニアも多くいます。

たとえば、エンジニアのサポートや正常に作動するかのテストなど、単純作業ばかりでスキルアップができないなどです。

業務内容が選べないため、自分でスキルアップのための勉強を行うことも必要になります。

誰からも教えてもらえない

SESはひとりで契約先企業に常駐することが多いため、上司や先輩から教育や研修を受ける機会も少ないことが特徴です。

契約先企業の常駐から自社に戻る機会が少なく、働く場所を転々とするケースなら余計に指導を受けることが少なくなります。

仮に指導を受けられたとしても、普段のあなたの仕事ぶりが見えないため、的確な指導はできないでしょう。

年齢が高くなると仕事がない

年齢が上がるとSESとして仕事を続けることがむずかしくなる傾向があります。

若手の方が単価も安く、年齢が高くなるとニーズにマッチしたパフォーマンスが提供できないと判断されるためです。

さらに、上司や先輩の指導もなく常駐先を転々としていると、マネジメント経験などもできずスキルが積み上がりにくくなります。

このように、年齢が高くなると常駐先がなかなか決まらないことが少なくありません。

常駐先が決まらなければ、自主退職を求められるケースもあります。

【SESは闇・やめとけ】4つのキャリアプラン

社内で昇進する

社内で昇進するためには、会社への貢献度を高めて評価してもらうことが必要です。

たとえば、プロジェクトリーダーとしての経験を積めば、マネジメント能力やコミュニケーション能力が身につきます。

マネジメントスキルが身につけば、チームで大きな利益をあげることができ、指導力が評価されます。

また、営業スキルを身につけて新規案件の獲得をすることで会社の売上に貢献することも有効です。

このように、社内であなたの評価が高くなれば、昇進や昇給しやすくなります。

Slerになる

SIerは開発から運用保守まで一括して請け負うため、成果物に対しての報酬です。

一方、SESは一定期間をエンジニアとして業務を行う契約のため、業務も限定的になることがあります。

両者の違いは、SIerが「システム開発自体を請け負う」のに対して、SESは「システム開発にエンジニアの労働力を提供する」点です。

Slerになれば以下のことが経験できるため、キャリアアップにつながります。

  • 規模の大きな開発に携われる
  • さまざまなプロジェクトで成長の機会がある
  • 上流工程を担うためプロジェクトマネージャーを目指せる

SEになる

SEはクライアントの要望で仕様を決定し、情報システム開発の上流工程を担当することが一般的です。

顧客とのヒアリングではコミュニケーション能力が必要となり、専門知識や技術力がなければ最適なシステムを提案することもできません。

さらに、システム開発などのプロジェクトは複数でおこなうことも多いため、マネジメント能力も必要です。

このように、SEになれば次のようなスキルが身につき、キャリアアップしやすくなります。

  • コミュニケーション能力
  • 技術的能力
  • マネジメント能力

フリーランスとして独立する

SESとしての働き方はフリーランスでも可能です。

フリーランスはSES企業に雇用されていないので、マージンが抜かれないというメリットがあり、その分給料がアップする可能性があります。

また、フリーランスになれば残業の少ない企業や週3勤務の仕事を選択するなど、自分にあった常駐先を選ぶことも可能です。

案件は自分で見つけることが基本ですが、フリーランス向けのエージェントを利用すれば、自分で探す必要はありません。

SESで現在働いている方は、フリーランスとして独立するとこのようなメリットが得られます。

【SESは闇・やめとけ】向いている人の特徴

エンジニア未経験の人

SES業界ではIT人材が不足しているため、未経験から自社で育てようとする会社が少なくありません。

そのため、SESは未経験からでもエンジニアになることができます。

SESなら未経験エンジニアを前提としているため、研修が充実した会社もあります。

1からプログラミングを学べる環境が整っている企業を選べば、スキルアップも可能です

大量採用を行っている企業も多く、未経験でも積極的に雇用しているため中途でエンジニアを目指す人にとっては始めやすい職業だと言えます。

大手企業で働いてみたい人

一般社員やSIerとして大手企業に就職するのは難しい傾向にありますが、SESなら大手企業で働けるチャンスがあります。

大手の企業がシステム構築を必要とし、SESを依頼することは少なくありません。

大手企業での勤務経験は今後のキャリアに生かすことができます。

実務経験を積みたい人

入社後3ヶ月から半年ほど自社で研修を受けさせてくれる企業や、先輩エンジニアと一緒に常駐して業務経験を積める企業も少なくありません。

スキルレベルが高い先輩エンジニアに教えてもらえれば、技術の修得スピードが上がります。

経験が浅いうちは1人前のエンジニアとしてみなされませんが、実務経験を積んでいくことでさまざまな案件を受けられるチャンスが広がります。

【SESは闇・やめとけ】未経験からなるには

SES企業に転職する

IT業界でエンジニアとして就職するには、未経験での採用はむずかしいのが一般的です。

必ず経験とスキルが問われるため、未経験の人はなかなか採用されません。

しかし、SESは未経験の人を積極的に採用して自社で教育している会社が多くあります。

プログラミング技術はスクールなどでも修得可能です。

しかし、SES企業で働けばプログラミングスクールでは学べない仕事の進め方や、チームとして仕事をするための必要なスキルなども学ぶことができます。

プログラミングスクールに通う

プログラミングスクールに通う人の多くがエンジニアになる目的でプログラミングを学んでいるため、転職活動をサポートしてくれることが少なくありません。

プログラミングスクールは就職先の紹介やインターンシップの提供、ポートフォリオの作成支援などを行っています。

就職率が高いプログラミングスクールもあり、実践的なスキルを身につけたい人やIT業界に就職したい人には、有効な選択肢のひとつです。

エンジニア派遣で実務経験を積む

未経験からSESになるために、派遣エンジニアとして実務経験を積むことも有効です。

エンジニア派遣には次のようなメリットがあります。

  • 未経験でも年収が良い
  • 仕事を選べる
  • 実務経験を積める

派遣エンジニアは雇用が不安定という面もある一方で、いろいろな業務経験を積むことができます。

IT業界に強い転職エージェントに相談する

ITに特化した転職エージェントはキャリアコンサルタントがつき、転職の相談や案件紹介をしてくれます。

そのほかにも、マッチングだけでなく以下のようなサービスが受けられるのが特徴です。

  • 履歴書や職務経歴書など応募書類のチェック
  • 面接対策
  • 面接のセッティング
  • 年収や給与の交渉

特定のエージェントしか持っていない非公開求人もあるため、複数のエージェントに登録することをおすすめします。

【SESは闇・やめとけ】よくある質問

SESは正社員ですか?

派遣のように契約先企業で働きますが、SES企業の正社員です。

派遣と異なり雇用が保証されているため、安定収入が得られます。

業務に関する指揮命令もSES企業です。

常駐以外の働き方はありますか?

一般的に、SESは契約先企業に常駐して働くことがほとんどです。

常駐以外の働き方をしたい人は、SES以外のエンジニアをおすすめします。

プログラミングは勉強した方がよいですか?

SESは未経験でもできますが、プログラミングができれば有利になります。

SESエンジニアとしてのキャリアアップには言語の学習は欠かせません。

以下の言語は需要が高いので修得をおすすめします。

  • JavaScript
  • Python
  • Java

【まとめ】SESは闇・やめとけと言われる実態

まとめ

  • SESは未経験でもできる
  • SESは職場や仕事が選べない
  • SESは実績を積んでキャリアアップが必要
  • この記事を書いた人
なべけん

なべけん

キャリアコンサルタント|新卒で大手人材会社へ入社し、人材コーディネーターや採用、育成などを担当。現在は独立し、現在はカウンセリングや個人メディアによる情報発信など幅広くキャリア支援に携わる|保有資格:国家資格キャリアコンサルタント(登録番号19005362)

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