「無期雇用に興味があるけど、紹介を断るとクビになると聞いて不安」と感じたことはありませんか。
たしかに、クビになって給料がなくなり、生活費が圧迫することを考えると不安になりますよね。
結論、「紹介を1件断ったらクビ」というドライな対応はされません。
しかし、断りが続くとクビになる可能性もあり、また有期への転換を考える必要も出てきます。
読み飛ばしガイド
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【結論】無期雇用派遣はクビになる可能性がある
結論、無期雇用派遣はクビになる可能性があります。
補足すると、クビ(解雇)とは、このような特徴があるものです。
解雇とは、企業が従業員に合意なく、一方的な意思表示によって労働契約を解除することで、懲戒解雇、整理解雇、普通解雇といった3つの種類が存在します。
無期雇用派遣は派遣会社の「無期雇用派遣社員」なので、派遣会社の就業規則に基づいてクビになってしまうのです。
そのため、無期雇用派遣の就業規則を熟読しておくことがポイントです。
なお、無期雇用派遣でクビになる原因が気になる人は、後半の「無期雇用派遣でクビになる原因」の見出しで解説しているのでチェックしてください。
無期雇用派遣でクビになるとどうなるか
クビになると、どのようになってしまうのか不安になりますよね。
結論、無期雇用派遣をクビになると、無期雇用派遣から有期雇用派遣へ戻るだけです。
そのため、派遣の仕事紹介がされなくなったり、派遣登録の抹消をされたりすることはありませんので安心してください。
ただし、クビになる理由によっては、派遣会社のブラックリスト入りしてしまう可能性があるため注意が必要です。
無期雇用派遣でクビになる原因
無期雇用派遣でクビになる原因
配属先が決まらない
配属先が決まらない期間にも、派遣会社は「就業待機補償費用」を支払いますよね。
これを払い続けると、派遣会社は赤字になってしまいます。
赤字を避けるために、一定期間が経っても就業先が決まらないと退職になるケースがあります。
わたしが無期雇用派遣の配属担当をしているときに、配属先が決まらなかったことで退職になったケースはありませんでした。
もちろん、派遣会社の規模や職種にもよりますが、多いケースではないことが予想できます。
紹介された仕事を断る
ほとんどの派遣会社で「紹介を断れない」と就業規則に明記されています。
無期雇用派遣になると、紹介される仕事は「配属指示」なので、正社員の人事異動と同じく拒むことは原則できません。
そのため、働く仕事内容や条件を重視するのであれば、有期雇用派遣で働くのがおすすめです。
契約更新を断る
一般派遣では、契約更新をするタイミングで希望が出せましたよね。
しかし、無期雇用派遣になると契約更新の依頼も配属指示のひとつです。
そのため、紹介される仕事だけでなく、どれくらいの期間を働くかどうかも希望で選べないことに注意しましょう。
一定の休業期間が続く
入院などで休業期間が長くなると規則で終了になります。
これも就業規則に明記されていることが多く、期間については派遣会社によって異なります。
なお、復職をするには担当医の署名がある「復職届」の提出が必要となります。
自分が働きたくても働けないケースもあるため注意してください。
疾病で休職した人が復職する場合、まずは主治医の診断が必要です。症状が治癒または軽減し、通常業務が可能である旨の診断書をもって、はじめて復職が現実的になります。
医師の判断で復職自体は可能となるものの、最終的な復職の可否は会社が決めます。
また、無期雇用派遣のように仕事を配属指示する働き方では、企業が復職のハードルを高く設定している可能性もあります。
休職をするときには、復職の判断基準があるかどうかを確認しておくと良いですね。
就業規則に違反をする
無期雇用派遣で働くときには、無期雇用派遣の就業規則が適用されます。
就業規則に違反すると懲戒処分の対象になり、最悪の場合は懲戒解雇になる可能性があります。
一般的に、このようなことが違反として就業規則にまとめられており注意が必要です。
就業規則違反の例
- 機密・顧客情報の持ち出し
- 正当な理由のない欠勤・遅刻
- ルールに違反した副業
- 業務命令に対する違反
- 転勤の拒否
- セクハラやパワハラなどのハラスメント行為など
きちんと就業規則を確認して、規則を守るようにしましょう。
派遣会社の経営が悪化する
いわゆる「整理解雇」と言われるもので、企業が人員削減のためにおこなうクビです。
ただし、企業の状況によっては「不当解雇」に該当する可能性もあります。
整理解雇の4要件
- 人員削減の必要性
- 解雇回避の努力
- 人選の合理性
- 解雇手続の妥当性
上記を満たしておらず、不当解雇に該当しないか気になる人は、弁護士へ相談するのがおすすめです。
無期雇用派遣で配属先が決まらないときの対策
配属先が決まらないときの対策
別の派遣会社で仕事を探す
無期雇用派遣であっても、他社で並行で仕事探しをすることができます。
仕事が決まったタイミングで、無期雇用派遣を退職すれば問題ないですよ。
そのため、少しでもブランク期間を減らして収入を得るためには、他社の派遣会社でも仕事を探しましょう。
おすすめ | 派遣会社 | 公式HP | 稼働者数 | 求人数 | 平均時給 |
---|---|---|---|---|---|
テンプスタッフ (5.0 / 5.0) | 約11万名 | 約62,000件 | 約1,450円 | ||
ランスタッド (4.5 / 5.0) | 約2万人 | 約11,000件 | 約1,450円 | ||
リクルート スタッフィング (4.5 / 5.0) | 約5.5万人 | 約11,000件 | 約1,450円 |
求人サイトで仕事を探す
人によっては、派遣ではなくパート・アルバイトや正社員で仕事を探したい人もいますよね。
求人を探したい人は、求人サイトへ無料登録をするのがおすすめです。
求人サイトによっては、「気になる」から企業とカジュアル面談をすることができます。
なお、パート・アルバイトで仕事を探すなら、「マッハバイト」がおすすめです。
無期雇用派遣から有期雇用派遣に戻る方法
無期雇用派遣は、希望をしたタイミングで退職して有期雇用派遣に戻れるケースがほとんどです。
就業規則では「30日前に告知が必要」と書かれているケースが多いですが、直前でも相談ができることも多いですよ。
有期雇用派遣に戻ったとしても、同じように仕事を紹介してもらえるので安心してくださいね。
紹介されるお仕事の探し方が無期雇用の配属指示から、有期の探し方のお仕事を選べる・希望できるスタイルに変わるということです。
では、退職をするタイミングにはどのようなパターンがあるのでしょうか。
無期派遣から有期派遣に戻る方法
契約更新時に退職する
無期雇用派遣で働いていて契約延長を希望しないときには、退職をして有期転換をすることになります。
契約更新も派遣会社からの配属指示なので、希望を優先するのであれば、有期雇用派遣で仕事を探すことになりますよ。
もし有給が残っているなら、今の派遣先を有休消化のために契約延長できることもありますよ。
また、今の派遣先の契約を延長しなくても、無期雇用派遣契約の中で有給休暇を消化することもできます。
契約満了時に退職する
派遣先の都合で契約終了になると、次の仕事を探すタイミングになりますよね。
そのタイミングで、自分の希望を優先して仕事探しをしたいときには、無期雇用派遣を退職できます。
すると、無期雇用派遣としての配属指示ではなく、希望の仕事を選ぶことができるようになりますよ。
待機期間中に退職する
無期社員は配属先が決まらないと、就業待機期間になりますよね。
このときに、派遣会社へ希望を伝えて退職をすることもできます。
待機期間中の退職も有休消化を相談できる場合があるので、有給がまだある人は派遣会社と相談しましょう。
無期雇用派遣から有期雇用派遣に戻る注意点
有期雇用派遣に戻る注意点
自己都合の退職になる可能性が高い
無期雇用の退職は、解雇以外は自己都合による退職となります。
無期雇用派遣の条件を希望せずに、有期雇用で働きたいという「自己都合」による退職のためです。
そのため、失業保険の受給ルール通りで支給日が先付となってしまいます。
自己都合退職 | 企業都合退職 | |
---|---|---|
最短支給開始日 | 3か月+7日後 | 7日後 |
支給日数 | 90〜150日間 | 90〜330日間 |
最大支給額 | 約125万円 | 約275万円 |
給付制限 | あり | なし |
国民健康保険税 | 通常納付 | 最長2年間軽減 |
無期雇用退職後の就業が決まっている場合は問題ないですが、仕事が決まらない場合は注意しましょう。
有給休暇は有期派遣でも引き継げる
無期雇用を退職をして有期雇用派遣へ切り替わっても、有給休暇は消滅せずに有期雇用でも利用可能です。
有給休暇を引き継ぐ条件は有期雇用派遣のときと同じで、契約終了後の一定期間内に就業決定すれば継続ができます。
有給休暇を無期雇用期間で消化できる
一般派遣では、契約期間がないと有給消化ができないですよね。
しかし、無期雇用派遣であれば、派遣会社と無期雇用派遣契約を結んでいます。
そのため、無期雇用派遣契約を残して、有給休暇を紹介することもできます。
ただし、すでに次の仕事が決まっているときには、二重契約になってしまうため契約開始日の前日までしか有休消化ができません。
有期派遣で社会保険が継続できない可能性がある
社会保険(健康保険)の引き継ぎについても一般派遣のルールと同じです。
例としてわたしが勤務している派遣会社のパターンで説明いたします。
弊社の組合の継続条件は、契約期間内に次のお仕事が決定(1ヶ月以内のスタート・保険加入対象)している場合です。
継続ができるパターン①
継続ができるパターン
- 無期雇用として派遣就業しており、契約期間の終了を迎える予定
- 今回の契約終了をもって、無期雇用を退職
- 契約期間内に次のお仕事が、有期(一般派遣)として就業決定
この場合は、契約期間内に就業決定ができたため、社会保険の継続対象となりました。
継続ができるパターン②
継続ができるパターン
有期として働いており、契約終了日を迎える予定。
無期転換の対象者なので転換を申込んだが、条件が合わずに有期として仕事を探すことになった。
契約終了日を迎えるまでに、有期で就業決定をすることができた。
この場合も契約期間内に就業決定ができているため、社会保険の継続ができる条件ということです。
継続ができないパターン
継続ができないパターン
無期雇用であるが、就業先が決まらずに休業補償(待機期間)中である。
希望の条件を重視して仕事探しをしたいため、無期雇用の退職をすることになった。
退職してから1週間後に、有期として派遣の就業が決まった。
無期雇用の退職日が加入している保険の満了日となります。そのため、継続の案内はすることができません。
また、健康保険組合によっては「任意継続制度」がありますが、任意継続期間中に就業決定した場合も継続の対象外となります。
【育休中の方向け】退職日=育児休暇の終了日
無期雇用期間中の方の中には、産休・育休取得中の方もいると思います。その方々は、退職日=育休終了日となることに注意が必要です。
なので無期雇用の退職が決まっている方は、「育休終了日を退職日にしたい」と伝えるようにしましょう。
なべけん一言コメント
なべけん(田邉健)
キャリアコンサルタント
育休明けの無期雇用はおすすめではない
ここまでに紹介したとおり、無期雇用になると基本仕事を選ぶことができなくなります。
そうなると、残業が発生して「保育園のお迎えに間に合わない」など生活に支障が出てしまう可能性があります。
たしかに、法律が整備されていますが、育児短時間勤務制度に応じてくれる求人がかなり少ないです。
正社員や契約社員などで同じ職場に復職するときには使える制度ですが、派遣ではまだ使いづらい制度なのです。
無期雇用派遣へ再転換する際の注意点
無期雇用派遣へ再転換時の注意点
契約期間中でなければ再転換できない
無期転換を申し込むときには、契約期間中でなければなりません。
では、2つの具体例を通じて、転換できるか・できないかを見てみましょう。
パターン①
無期雇用を退職し、仕事が決まらないため3ヶ月後に無期転換の申込みを再度行った。
→ この場合は契約がないため、申込みをすることができません。
パターン②
無期雇用を退職し、同じ派遣元の紹介で別のお仕事で有期として派遣就業をしている。
契約終了日の間近になり、仕事が決まっていないため再度無期転換の申込みをした。
→ 契約期間内なので、無期転換の申込みをすることができます。
通算雇用期間にはクーリングがある
無期転換をするためには、通算雇用期間が5年以上が必要となります。(3年で無期転換をすることもできるが、今回の説明では対象外)
一定期間の無契約状態が続くと、この通算期間がリセットされてしまいます。この労働契約が無い期間が6ヶ月以上の場合は、通算期間がゼロからになるのです。
つまり無期退職してから6ヶ月未満で、かつ労働契約があれば再転換が可能ということですね。
参考記事
よくある質問
無期雇用派遣で紹介を断ったらクビになりますか?
紹介を断ってもクビになることはありません。
ただし、紹介が断れない旨は就業規則に明記されているため、退職を促されることがほとんどです。
無期雇用派遣に定年制はありますか?
無期雇用派遣にも定年制度があり、ほとんどの派遣会社が60歳を定年に設定しています。
派遣で勤務中に定年に達したとしても、今の派遣先を契約終了になることはありません。
定年を迎えたら、有期雇用に転換されて、有期雇用として派遣先を継続勤務することができます。
なお、60歳以上になると派遣の3年ルールが撤廃されるため、無期限で働くことができますよ。
待機期間中に退職するとどうなりますか?
待機期間中に退職をすると、有期雇用に転換されて仕事紹介が再開されます。
退職日以降から勤務可能な求人紹介をされて、通常どおり派遣社員として勤務することができますよ。
まとめ
まとめ
- 1件断ってもクビにはならない
- 希望を優先するなら、有期に転換
- 有給や社会保険、失業手当には注意する
- 6ヶ月以内なら無期に再転換が可能なこともある
- 産休・育休利用中の方は注意